ひとり言

「何者」(朝井リョウ)を読んだ感想

夏に文庫本で売っていて、「何者」というタイトルが気になって買ってみたものの、積み本していました。

 

あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

引用:「何者」カバー裏より

 

ネタバレを控えて感想をいうとすると、俺はやれば出来る人だからとか、ああだこうだと言うだけで何もしない人、批判だけしてやった気になっている人はもれなく打ちのめされるのではないでしょうか。

何者かになろうと足掻く者と、何者になんてなれないと諦め、逆に「意識高い系w」と痛い奴らだとあざ笑うようになった者。

自分もこう思っている節があるなぁと拓人に感情移入した辺りで、終盤にくる対峙が心をえぐります。これ全部自分のことだわ、ぐうの音もでません。

ちょっとしたホラーより怖くて、本を持つ手がかすかに震えていたかもしれない。

 

就活が題材の現代小説はどういう風に話が盛り上がるのだろうと待っていた部分があったけど、あんな風にひっくり返されるとは思ってなくて驚いたというか焦った。さりげなく伏線もはってあり、そりゃそうだと納得もできます。

カッコ悪いながら自分をさらけ出し変わろうとする様子が見えて、最後も悲観ではなく前向きになる感じで終わり、少し救われた気持ちになりました。

 

映画も機会があれば見てみよう。

では、また次回。